|
"笑い"
…我々の日常生活の中で、人間の持つ感情、喜怒哀楽の中で最も頻繁に行われる、そして人間にとってなくてはならない感情です。嬉しい時に笑い、楽しい時に笑い、失敗してニガ笑い、嫌いな上司に愛想笑い。様々なパターンで人は笑い、笑いによって世の中円滑に機能したりします。
この"笑い"少しだけ解剖的、生理学的及び雑学的なお話をしていきたいと思います。
一寸だけみんなの嫌いな解剖学
突然ですが人には"鬚"がありません。?と思われる方もいらっしゃると存じますがやっぱりひげはありません。人の髭は体毛の遺産で動物の持つ鬚とは一線を画します。では本物のひげは?というと退化して皮膚の内側に残った繊維が発達し「皮筋」という姿に変わり、顔の表情を形成する為の筋肉に生まれ変わったのです。動物にとって、大切なセンサーであった鬚を失い、代償として人間は表情を手に入れたのです。
それでは、笑いを造る大きな顔の筋肉を挙げてみましょう。笑顔を分析する事で、もしかすると業界の皆さんは患者さんの神経疾患や麻痺を発見、また予測するかもしれませんし、トレーナーの皆さんは選手の笑顔から内なる表情を読み取り、選手の悩みを解決する糸口を見つけたり、モチベーションを高める役に立つかもしれません。
豪快に笑え……大頬骨筋…頬骨枝・頬筋枝
わはは、いひひ、うふふ、えへへ、おほほ、の笑い声、また笑う表情を決定付けるのはどうしても口元になりなす。象徴的な笑いをつくる筋肉、それが大頬骨筋です。この筋肉は口のはしっこと、頬の出っ張りの頬骨をつなぐ筋で、こいつが働いてくれなことには顔全体として笑顔になりません。口の端を引き上げる強さによってワッハッハになったり、ニターになったり、ニコニコになったり変幻自在の笑顔の主役なのです。
さらに口元には口輪筋(頬筋枝・下顎枝)があります。これはチュウをする時の筋で、笑う時はオホホとお上品お笑いになられる時にお使いになられます、ハイ。
満面の微笑み…眼輪筋・側頭枝・頬骨枝
それでは純粋に口元だけ笑うとどうなるか?皆さん鏡を見て試してみてください。人によっては猪木顔になる恐れがありますが、一般的にはやや不自然な笑顔になり、「おいおい、あいつ目が笑ってねーよ。」と評されます。男性の場合仕事場なら「出来る奴は目元をゆるめない、さすがだ!」も有り得ますが、女性の前では「イヤーン、この人コワーイ!」の危険があります。人と接する我々は気を付けねばなりません。口と目と両方笑ってこそ満面の笑みをたたえるといえるでしょう。
この眼輪筋目の周りを一周取り囲み、目を細めたり強く閉じる働きをします。上から押し下げ、下から押し上げて眩しそうに目を細めるわけです。
笑いの脇役…皺眉筋・鼻根筋・笑筋
他にも場合によって参加する筋があります例えばニガ笑いや、呆れ笑い、"もうしょうがねーなー"といった笑いには皺眉筋が活躍します。鼻根筋は"もうこれ以上笑えないっ!"という位顔をくしゃくしゃにして鼻に皺を寄せて笑う時に働きます。笑筋は単独では笑顔になりませんが、えくぼを作り微笑みを引き立てます。
神経も大切
さてこれらの笑顔を作る神経は何かというと、第七脳神経です。脳幹の顔面神経核から発し内耳道を通過し五枝に分岐し、耳下腺筋膜を貫通し各々の支配筋に至ります。分岐は上から順に側頭枝、頬骨枝、頬筋枝、下顎縁枝、頚枝で顔全体の運動を支配します。顔面のバランスを診る時などは無表情よりも、笑みをもたらした方がより大きくコントラストが出るものです。
カウンセリング時に限らず常に笑顔と笑いの絶えないようにしたいものですね。
|