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「・・・(じっと見つめる視線)」
「・・・???(わけが判らずボー然とするがはっと気付く)うわー」
今年の春は早過ぎる。あまりの暖かさに白衣を脱いで下に着ていたTシャツだけで外に買い物しに出た所、すれ違う人の殆ど全てに「ちょっと早いんじゃないの」または「ちょっと頭がおかしいんじゃないの」的なそしてかなり批判的な視線にさらされてしまいました。しばらく行くと段々こちらも心もとなくなってきたりして、胸を張って気持ちよく歩いていたのが、次第に猫背になり下を向いてだいぶわびしい気持ちになって帰ってきてしまいました。人の目を気にする性格ではないのですがこの季節人の心まで移ろいやすくなるものなのでしょうか。本誌が出る頃はもうすっかり桜も散り初夏の風情が漂う頃でしょう。
そう、そして卒業、入学のシーズンです。この季節なんとはなしに私、説明の仕様がない、何とも切なく物悲しい気持ちになってしまうのです。出会いと別れを幾度となく繰り返した季節に刻み込まれた感情の記憶なのか、それとも来たるべき季節を予感させる悩ましい風のなせる技なのか。
そしてこの春もやはり多くの卒業していく人たちがいます。そして私が講師を勤める学校からも卒業生が出ます。入学して右も左も上も下もまったくなーんにも判らない所からはじめて最初の半年間はおそらく学生の皆さんは、講師が自分たちと同じ日本語を使っているとは思えなかったと思います。この最初の半年間がとにかくしんどかったのではないでしょうか。みんな最初のテストは出来が良くなかったもんね。と人の事を言ってますけど、私も学生の時はそうでした。ある時、解剖学のH助教授(GK医科大学)が夢に登場し「えー、吉田くんこれは何かね、何!ワカラン?!
来週までに金子第三巻56ページから250ページまで全部覚えてきてクレタマエ」「ひえー(夢の中での叫び)」と言うこともありましたし(夢だけではなく実際に学生時代に数回このようなことがあった)またあるときはテクニックのHモト先生は「・・・なのでこういって症状はどういった神経経路の障害でしょう?ハイ吉田さん」「錐体外路・・・ですか?」「いやいやきちんと英語で言ってクレタマエ(途中から文章が英語になっていたりする)」「ひえー」(学生時代一緒に住んでいた友人の証言によれば実はこのあとエクストラピラミダルトラクトと寝言で答えていたらしい。
(注)この友人運動生理学の専門分野の学生だったので、通常一般に用いる英語よりも専門英語が得意であった為、寝言を解聞出来たものと思われる)。
入学してはじめの半年はこんな夢が次から次へとでてきていたような気がしますね。
次の半年、やっと勉強のペースにも慣れ、講師陣の本当に日本語かどうか疑いたくようになる言語にも耳が馴染んで、話の内容が理解できるようになって来る頃です。ここでやっと“勉強ってちょっと楽しいかも”ナドト錯覚が出来る唯一の時期でしょう。この時期に本当の勉強体制を作れた人はその後停滞なく成長できる傾向にありますね。なぜかと言うとこの後はハッキリ言ってろくな事がないからです。仕事と勉強を両立させる為には、仕事だけをしている人よりも、もっと絞り込んだシェイプされた生活スタイルが絶対条件です。昼仕事、夕方勉強、夜寝るダケ。余計な事をする時間的、肉体的、精神的、経済的余裕は一切ありません。当然体も壊します(この職業に就こうとしている人間にとっては甚だ不本意、本末転倒だが殆どの学生が半年以降二年目にかけて体調を崩して長期休業する)。当然女とは別れる(かまってやらないので泣く喚く叫ぶ、刃物を振り回す〔嘘〕、最後は結婚しろと脅しをかけられる、危ないところだった)。当然時間はありません(おかげでテレビをみる習慣が無くなりました)。
当然ビンボーである(おかげで現在質素倹約を旨とする生活が身に付いている)。ホントは勉強に集中したいのに、色々と周りでは楽しい事が起きてくれるわけです。こんな(と言っても私の話でしたが)様々な障害を乗り越える為には出来るだけ早い時期に、自分の勉強のペースを作らないといけないわけですね。
順調に勉強が出来ても終了間際になると次の障壁があります。卒業後、将来の事です。これまでのものとは比較にならない大きな問題です。オレは果たしてこのままで大丈夫なのだろうか?実力は付いたのか?この先どうすればいいのか?誰かたすけてくれー。と言った事のないように日々是修行です。
最後に。この春卒業された方、おめでとうございます。新たに臨床の場へ一歩を踏み出す皆さんの新しく若い力を歓迎します。
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